悩む男性
病原体

性器クラミジア感染症は日本国内で一番患者数の多い性感染症で、2019年度だけでも2万4千件以上が報告されています。クラミジア感染症の病原体はクラミジア・トラコマチス(Chlamydiatrachomatis)と呼ばれる細菌で、人間やペットの粘膜の細胞に感染して増殖する性質があります。人間に感染する場合は、性器・直腸・咽頭(のど)・目の粘膜の細胞に侵入して細胞分裂を繰り返します。病原体が性器・咽頭・目のそれぞれの粘膜に感染すると、炎症を発症します。

日本国内で性器クラミジアの感染者数が多い原因のひとつは、他の性感染症と比較して病原体の感染力が非常に強いことです。1回のセックス(性器性交)でクラミジアが伝染する確率は3~5割といわれていますが、これは非常に高い数字といえます。たった1回のセックスでも、感染してしまう恐れがあるからです。病原菌は咽頭部の粘膜にも感染する場合があり、オーラルセックスをすると口と性器の間でも伝染が起こります。ちなみにHIVであれば、1回のセックスで感染が起こる確率は0.1~1%程度です。

クラミジアの病原菌は非常に弱く、人体を離れて空気中や水中に放出されると短時間で活性を失って死んでしまいます。病原菌が弱いのに感染力が強力な理由は、粘膜の細胞の中に潜んでいることが関係しています。病原菌は粘膜の細胞内に潜んでいるので、セックスやオーラルセックスの際に感染者の粘膜と接触するだけで簡単に伝染が起こってしまいます。

HIVなどの一部の病原体は粘膜や皮膚の細胞には含まれていないので、皮膚や粘膜が接触したとしても表面に傷がなければ感染することがありません。HIVは一定以上の数のウイルスを含む体液や血液が傷口などに触れて血液中に侵入することで、感染が起こります。これに対してクラミジアの病原体は粘膜の細胞に含まれているので、射精をしたり、傷口から出血をしていなくても粘膜の皮膚が直接接触をするだけで感染してしまいます。

クラミジアの感染を予防するために、粘膜が接触しないようにするために男性がコンドームを着用する方法があります。セックスの際にコンドームを着用すれば、男性器の粘膜との接触を防ぐことができるからです。オーラルセックスの際も、最初から男性がコンドームを着用する必要があります。なぜなら、病原菌は口や喉の粘膜を通して感染する恐れがあるからです。

オーラルセックスは避妊をする必要がないという理由で、性風俗店でもコンドームを使用しないケースが少なくありません。コンドームを着用せずに口と性器が直接接触することで、咽頭部の粘膜に感染した病原菌が性器に感染する危険性があります。中にはセックスの際に射精をする時にだけコンドームを着用する人がいますが、この方法では感染を防ぐことができないので注意が必要です。射精をして体液に接触をするよりも前に相手の粘膜に接触をしていれば、既に病原体に感染してしまうからです。

クラミジアの病原菌は粘膜以外の皮膚の細胞には感染することができないので、性器・口・肛門以外の部分に接触をする程度ではうつる心配がありません。性交渉以外では他の人の粘膜に触れる機会はないので、日常生活では感染の恐れはありません。性交渉の際に男性器の粘膜に触れないようにする目的で最初からコンドーム着用することによって、感染を防ぐことができます。

クラミジアは感染してから発症するまでの潜伏期間が長く、本人が気づかない間に感染して他の人にうつしてしまっていたというケースが少なくありません。症状が出ていなくても病原菌に感染している恐れがあるので、性交渉の際はコンドームを使用して予防をすることが大切です。完治した後も免疫を獲得することができないので再感染する恐れがあり、常に予防対策を講じておく必要があります。